信州大学工学部教授 同大学カーボン科学研究所所長
遠藤守信
従来物質では達成できない卓越した、革新的機能を有する「ナノカーボン」をベースに新たに異種原子を積極的に導入した究極のナノカーボンたる「エキゾチック・ナノカーボン(ENCs)」には大きな可能性がある。21世紀は炭素の世紀であり、新炭素体は新機能創出そして技術革新への道程を確かなものにする21世紀素材である。本プロジェクトは、ポスト・ナノカーボンたるエキゾチック・ナノカーボン(グラフェン、カーボンナノチューブ、新一次元カルビン等を基盤材料にした)の基礎科学と物質創成ならびに新応用(ハイパワーリチウム一次・二次電池、キャパシタ、超高機能複合材、電子デバイス、機能素材等)の開拓による地域新産業創出とその持続的発展(長野ナノカーボンバレー)に寄与するものである。
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エキゾチック・ナノカーボンとは
カーボン科学は、過去30年間、一貫して最も活発な研究領域の一つを提供し続け、その応用によって人類に多大な貢献を果たしてきた。すなわちカーボンファイバー、人工ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ等のナノカーボンである。そして21世紀の中核的素材と目されるナノカーボンをベースに新たに異種原子を積極的に導入してナノカーボン自身の可能性を更に拡大したナノカーボンを超えるナノカーボン、すなわち"エキゾチック・ナノカーボン(ENCs)"が注目さている。このENCsの科学と技術は、持続可能社会、環境世紀の構築に大きく寄与すると期待できる革新的素材である。
プロジェクト内容
- エキゾチック・ナノカーボンの創成
カーボンナノチューブ、グラフェン、新一次元カルビン等の構造を精緻に制御し、そこに異種原子あるいは他の結合(sp3結合)を導入して様々な応用に最適なENCsを創成し、イノベーティブな機能発現を目指す。またその高効率生成法も開発する。ENCsの総合的基礎科学像も確立し、応用技術創出の持続性を確保する根源としていく。
- エキゾチック・ナノカーボンの物性・構造解析
新規に創成したENCsと出発物質のナノカーボンと比較しつつ、詳細な物性や構造の転移の挙動を解明する。このチームは殊に、半導体性ENCsの創生も一つの目標とし、太陽電池機能発現、薄膜トランジスタ、センサ応用等の基礎を開拓する。これによって地域における環境産業の新たな活力創出につなげる。
- エキゾチック・ナノカーボンの応用開拓
従来にない高機能性各種複合材を開発する。企業の技術蓄積を反映し上記のチームと協力して推進する。取り組む研究内容は具体的には科学的・応用基礎から初期的応用までを対象とし、以後は各企業の自助努力で特色ある製品技術に成長させていく。