カーボンの科学と技術に関する国際的な教育、研究センターを目指してこのたび信州大学カーボン科学研究所が設立されました。ご存知のように、21世紀の基盤技術はエネルギー、環境、情報通信、バイオ・医療です。このいずれとも深くかかわるカーボン研究は、まさに21世紀の産業の米とも目され、炭素の世紀と期待されています。かかる状況を鑑み、世界に先駆けカーボンの中核的教育、研究機関として信州大学が有する広範な研究教育資源を戦略的に統合し、ここに新たに研究所として発足したものであります。工学、医学、繊維、農学、理学、さらに教育など、学際、融合領域を活発に開拓して新たな科学技術の創出や産業、経済への貢献を目指すもので、国内外の産業界、教育界との共同研究はもとより地域産業とも密接に連携して社会貢献を果たそうとするものであります。
本研究所の目的は大学、地域行政及び民間企業等と連携してカーボンの科学技術の振興や人材育成等の諸事業を推進することにより地域社会の発展に寄与し、併せて科学技術の進展、大学の活性化に寄与することであります。シリコン(Si)に続く21世紀材料として、また主要元素としての炭素を定義し、それを研究する国際的中核機関として世界トップレベルの研究推進体制を整え、業務を展開してまいります。本研究所では地域の産業界はもとよりわが国の産業のコアコンピュタンスとなりうる新技術や素材開拓をすすめ、もって関連科学技術の国際貢献を教育、研究の両分野で推進してまいります。
本研究所が推進する分野は医用科学・バイオサイエンス、応用材料、基礎科学を軸にエレクトロニクス、素材、コンピュータ、情報処理技術、メカトロニクス、防災技術、環境技術、医療・福祉など広い分野に及んでいます。かかるカーボンの研究分野での共同研究、委託研究、技術指導などが信州大学の業務規定に沿って展開されます。
本研究所には共同研究用設備として高分解能電子顕微鏡をはじめとするカーボン研究に必要な先端機器が各種設置されております。これらの装置をよりいっそう産業界の皆様にご活用いただくため、様々なご要望に応えてまいります。
組織の核は運営・研究を担当する「運営委員会」、管理運営を担当する「学内共同教育研究施設等管理委員会」から構成されます。また、専任教員は金龍中准教授が担当しています。
基礎科学部門 : 部門長 大石修治 教授(工学部環境機能工学科) 他信州大学教員11名
医用科学部門 : 部門長 小池健一 教授(医学部小児医学科) 他信州大学教員6名
応用材料工学部門 : 部門長 杉本公一 教授(工学部機械システム工学科)
共用イノベーション部門 : 部門長 森迫昭光 教授 他信州大学教員24名
東京工業大学 榎 敏明 教授
長野工業高等専門学校 押田京一 教授
三井物産株式会社 鶴岡秀志 工学博士
昭和電工株式会社 西村嘉介 工学博士
日信工業株式会社 野口 徹 工学博士
IPICyT (Mexico) Prof. Mauricio Terrones
MIT (U.S.A) Prof. Mildred S. Dresselhaus
Florida Univ. (U.S.A) Prof. H. W. Kroto