自然とカーボン
イラナイをスゴイへ
カーボンは地表であればほとんどの場所で発見することができます.岩石などの鉱物にも含まれている場合がありますし,人間や生物,そして植物にもカーボンは含まれています.不要になった食品,それから用途のない植物等は未利用のものをバイオマスと呼びます. このバイオマスを燃えない様に酸素を取り除いた条件で加熱しますとカーボンと灰分が残ります.このようにして自然由来のバイオマスは「炭素化」を経てカーボンへと変化していきます. エネルギーとカーボンでも解説する電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極にはバイオマス由来のカーボンが使われることがあり,資源を有効に利用できていると考えられます.
バイオマスからカーボン
HMLABではバイオマスから高い機能をもつカーボンを創る研究をしています.この研究ではバイオマスである植物や廃棄物等をカーボンの原料にするため,余っている資源の有効利用に貢献ができると考えています.しかしながらこのようなバイオマスを原料としてカーボンをつくる場合,原料の種類や品質のばらつきが得られるカーボンの機能やカタチに大きな影響を与えると考えられます.
イラナイ「籾殻」からスゴイ「グラフェン」を
これまでのHMLABの研究結果から,籾殻を焼くととても面白いカタチをしたカーボンができることがわかっています.粉でありながら先端材料であるグラフェンの様な特徴を示すものや,ファイバー状のグラフェンも作ることができます.実は籾殻にはシリカ(酸化したシリコン)が含まれており,このシリカがカーボンの型になっていることやシリコンが高い温度でカーボンとくっつくことによって,このように面白いカーボンが生まれていると考えています. もしかしたら他の原料を使えばもっとスゴイカーボンが作れるかもしれません.
原料からカーボンのカタチを予測する
先ほどは籾殻を原料とした場合の話をしましたが,理想的なカーボンをつくるためにはどのような原料が適しているのでしょうか.実はカーボンが作られる「炭素化」過程はとても複雑なため,簡単に原料のカタチからカーボンのカタチを予測することはできません.これはまだまだ時間がかかるのですが研究をつづけて原料のカタチからカーボンのカタチがわかるようになれば,と日々実験を進めています.