研究設備
カーボン材料の作製と分析に用いる機器群
小型超高温炉(SCC-30/220)
原料に対して熱を加えることによってカーボンを得ることができ,そしてカーボンを更に高い温度で処理してあげると黒鉛と同じような構造になります.これを「黒鉛化」と呼びますが,この現象は黒鉛構造の横への広がりと縦への広がりがそれぞれ異なる温度帯で起きていると考えられています.
このようなカーボンの成長課程を調べるには非常に高い温度が必要になり,この小型超高温炉が役に立ちます.小柄ながら最高温度はなんと3000℃!!太陽の黒点よりも1000℃低いこの温度を達成するにはカーボン材料を用いる必要があり,カーボンを焼くためにカーボンを使っています.
【装置概要】
倉田技研製 SCC220/30,最高使用温度3000℃,常用最高温度2800℃
ホウ素ドープ専用 小型超高温炉(SCC-30/220)
カーボンのお隣さんであるホウ素添加目的の超高温炉.お隣さんのホウ素はカーボンと仲が良く,一度カーボンの構造中にホウ素が混じってしまうと残ってしまいます.そのため炉自体を分離して利用する必要があり,2台目はホウ素専用機として活躍しています.
【装置概要】
倉田技研製 SCC220/30,最高使用温度3000℃,常用最高温度2800℃
透過型電子顕微鏡(HRTEM, JEM-2100F+CESCOR/CETCOR)
人間の目は光を感じることができますが,この可視光は400-800nmの波長を持っているため複雑なカタチを持つカーボンを見ることができません.
そのため,対象カーボンのカタチよりも短い波長を持つ電子波を使った透過型電子顕微鏡(HR-TEM)で正確なカタチを見ます.HR-TEMでは加速された電子に磁場をかけて拡大・縮小をすることでレンズの機能を実現しており,小さなカーボンのカタチも見ることができます.
またHMLABで使用しているJEM-2100Fには球面収差補正装置が搭載されているために高い倍率で問題になる画像の歪みがないため,カーボンに特徴的な並んだ六角形がみえます.
【装置概要】
JEOL製 JEM-2100F + CETCOR/CESCOR (CEOS),常用加速電圧80 kV
Raman分光器(InVia Reflex)
Raman分光器ではレーザー光を当てるだけでカーボンの詳細なカタチがわかります.ダイヤモンドなのかグラファイトなのか, はたまたグラフェンなのかナノチューブなのか実際に電子顕微鏡や光学顕微鏡で見なくてもわかるのです.カーボンは黒い粉であることが多いのですが,「どんな」黒い粉であるか理解するのにとても重要な分析手法です.
【装置概要】
Resnishaw製 inVia Reflex,励起波長 785nm/532nm,高速マッピングオプション付属
Triple Raman分光器(T64000)
Raman分光を行うための理想的な分光器,高感度のシングルモードに加え,多様な波長に対応するトリプルモードを搭載.トリプル差分散モードではレイリー散乱に近い10cm-1付近まで測定が可能であり,多くの原子の集合的な振動の解析も可能.
【装置概要】
HORIBA Jobin Yvon製 T64000,励起波長 488/515/532/561/633nm
UV-vis-NIR吸光光度計(SolidSpec-3700)
紫外~可視~赤外といった広い範囲の光を試料に当て,試料が吸収・透過した光を測定する装置です.カーボン材料はそのカタチによって吸収する光が大きく変化することから,本装置によりカーボン材料のカタチやその量を調べることもできます.また,膜状の試料に対して透過する光を測定することもでき,透明導電膜等の特性を知ることが可能です.
【装置概要】
SHIMADZU製 SolidSpec-3700,測定波長範囲250~1800nm
近赤外フォトルミネッセンス測定システム(NIR-PL System)
物質に光を当てるとその物質から発する光を蛍光 (フォトルミネッセンス)という.カーボンナノチューブは各々の構造により発する光が異なることから,本装置を用いて試料のフォトルミネッセンスを測定し,カーボンナノチューブの構造の分布を調べることが可能である.
【装置概要】
SHIMADZU製 NIR-PL system,励起波長400~1000nm,蛍光波長850~1600nm